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「自粛要請」だだ漏れの三月

テレビ、新聞、ネット、ラジオの多くが、情報を伝えるのではなくて「自粛すればなにかが成功するムードを醸成するPR」をしている。そしてそれは、少なくとも3/22現在は成功しているようだ。

「こんなときだからみんなで我慢しよう」というメッセージ性のあるコンテンツと、観光地や花見でほのぼのしつつ、県から自粛要請があった格闘技イベントが敢行したことに眉をひそめること。さらには、大相撲は無事に千秋楽を迎え(いやこれはよかったのですが)、関東地方に限れば天気もおだやかで、ソメイヨシノの開花もだいぶ早まり、めでたい感じがする。結果的に「なんだかよくわからないけど、みんなで乗り切れば大丈夫じゃない?」的な楽観的な志向をつくり出している。

メディアから投げかけられてる言葉は、まるで「以上、3/22の空気感を醸成しました」なのだがーーあれ、そういうことだっけ? たぶん違う。暮らしていて、情報が伝わってこないことが危うい。

こういうことを言うと、すぐに広告代理店の陰謀論と結びつけられやすいが、実は広告の制作が「できる」人と組んでいないからこそ、こういうことになるのだろう(念のため言っておくと、関わっていればいいわけではない)。なぜなら、情報を伝えるのが広告の第一義のはずだから。

そもそも「自粛」というのは、頼まれてするものではない。するもしないも、自分が決めること。お願いするなら「中止・延期のどちらかを要請する」と言えばいい。それなのに、宙ぶらりんな言葉を投げかけられるから、わからなくなる。不毛な議論が生まれてしまう。

要請の担保ができるかどうか、現時点で言えることがないのであれば、何を優先にしたいのか説明する。シンプルにそれだけのはずだ。台風や地震で「逃げてください」とか「命を守る行動を」と言うのと同じ。

「言葉尻ばかりに目を向けるな」とか「揚げ足取り」とか言う人もいるかもしれない。けれども、実は広報の目線では重要な点のはず。「どんな理由で、何をしてほしいのか」説明がないのに「お願い」をされてもやるかどうかは運次第になってしまう。

そもそも人は、自主的な判断をするとき、現在あるだけの情報を目の前にして、いろいろな考えを探るものだ。現在、 オフィシャルな情報源として認められているのは、厚生労働省や自治体のサイトだが、そこには「知りたい」と思っている情報は載っていない(ように見える)。

つまりは、こういうことだ。
【厚生労働省】
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解等(新型コロナウイルス感染症)
(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年3月19日)PDF

【東京都】
新型コロナウイルス対策サイト

どうだろう。もちろん、情報を出していないわけではない。しかし、とにかくわかりづらい。

たとえば……
1)大規模なイベントとは何人以上なのか?
2)「感染状況が拡大傾向にある地域」や「感染状況が収束に向かい始めている地域並びに一定程度に収まってきている地域」とはどこを指すのか?
3)「症状が軽い陽性者等」が「高齢者や基礎疾患がある人と同居していて家族内感染のおそれが高い場合は、接触の機会を減らすための方策を検討」と言っても、自分が症状が軽い陽性者等に該当するかどのように知ればいいのか?
4)渡航歴もなく医療従事者ではない人の感染数が増えてきてるのでは?
ーー等々、わからないことだらけである。伝わってないのは、伝えていないのと同じだ。

その一方で、明確に読みとれる箇所もある。国に対して求めたことは、これから進められていくのだろう。周知広報の充実が求められているのだ。これから充実するに違いない。

(3)「3つの条件が同時に重なった場」を避ける取組の必要性に関する周知啓発の徹底

まん延の防止に当たっては、国民の行動変容を一層徹底していく必要があります。このため、専門家会議としては、国に対しては、3つの条件が同時に重なった場を避けることの必要性についての周知広報の充実を求めます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf

それにしても、ここまで「自粛を要請され続ける」のって、なんだか「自己批判しろ」と請わているみたいで可笑しくなってくる。政治の季節に必ず反動をしてきた日本社会。このシラケが怖い。

「テレワークはいい」だけじゃない

三連休、いかがお過ごしだったでしょうか。

わたしは自宅にいざるを得なくて、いろいろと悩まされて仕事も進まず、ほとほと嫌になりました。明日からは仕事です。こういうとき、大人になるって便利だなと思います。でもおかげで、連休中にやるべきだったことに手をつけられてないってヒドい大人です。うーん、どうしよう。

もしも小学生のときに休校があったら、本当に希望が見えなかったかもしれない。そんな風に思う。いま苦しんでいる人たちに何もできず、不甲斐ない。

そんなわけでこの記事。

新型コロナで突然の長期休校 子どもを取り巻く別のリスクが見えてきた/朝日新聞GLOBE+

学校には、様々な理由で児童相談所がかかわっている子どももいます。長期休暇によって、家の中で子どもと親だけになり、子どもが逃れられないような環境になっていないか、すごく心配です。新型コロナも命にかかわることですが、家庭の中でも命にかかわることがあることを忘れてはいけないと思います。

この手の問題は、COVID-19でロックダウン状態になる他の国でも起きているようです。まぁ、そりゃそうだよね。親子のことだけじゃない。誰かの彼女も、誰かの彼氏も。誰かの配偶者も。

テレワークは自由も生むが、いいことばかりじゃない。組織や企業の課題とは別に、個人レベルでの問題も抱えている。(感染症禍がなければ、家以外のところでも場所は探しやすいけれども)

しかしテレワーク、実際どれぐらい導入されてるのだろう?

Twitterでは、だいぶテレワーク見かけるけれど、そうでもなさそう。なぜかと言えば、時差通勤したところで、たいして変わっていない気がするから。

すべての業種・職種がテレワークできるわけじゃないし、テレワークやクラウド的なコトが万能ってわけでもないのは忘れないでおきたい。究極的には、人間はリアルにモノを食べないと死んでしまうから!

蛇足ですが、ライブハウスがダメなら、満員の通勤電車は絶対にヤバいと思う。なぜならば個人的には「耳から音楽を聴いてライブハウスだと思えば、ギリギリ耐えられる(しかし毎日は、もうムリ)」だから。

当初、3/1の時点では(新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために)、下記の3点が集団感染が起こりやすい共通点で避けるべき対象と言われていたのですが、今では「マスクしてしゃべらなければいい」みたいな雰囲気できてませんか。その条件は
1)換気が悪い
2)人が密に集まって過ごすような空間
3)不特定多数の人が接触するおそれが高い場所
…これって満員電車でしょ、どう見ても。

いま最新情報では(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」2020年3月19日)、ちょっと違ってきています。
「①換気の悪い密閉空間、②人が密集している、③近距離での会話や発声が行われる、という3つの条件が同時に重なった場」は避けるのが望ましいが、行く必要がある場合は感染症対策をして行きましょう、ということになっている。
専門家会議の人に質問できるなら、なぜマイルドになったのか? ぜひ聞いてみたい。