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2020年のブラックホール

Photo by Hello I’m Nik 🎞 on Unsplash

ここ2〜3ヶ月ほどのあいだに、使いたくないワードが増えてきた。謎の造語がの増殖力がすごい。このままどんどん膨張していき、しまいには無になるのでは、などと思ってしまう。

もちろんすべてを調べているわけではないのだけれど、英語と日本語で、それらを使うときのモードが違うということに気づいた。日本語は、「わたしが〜します」「わたしが〜しよう」ではなくて「〜を守る」「〜してはいけない」が強く働く社会で使われているようだ。

たとえば、social disancingだ。「ソーシャルディスタンシング」のことを、日本でもはや「ソーシャルディスタンス」としか呼ばなくなってきている。

近い将来、特に地方の差別を取材した記事で「日本人があえてソーシャルディスタンスを使った理由」などというタイトルで記事にならなければ良いなと思う。もちろん、非英語圏ではこのような使われ方になりやすい。英語圏でもsocial distanceという語が使われてもいる。特に本邦の場合は単純に語感の違いでこうなってしまったわけだ。それにしても、根本的な違いがあると思われる。

それは、謎の造語にも表れている。

◆「三密」密だ・である」「密な」
サンミツか、ミツミツか。いずれにしても、わたしは使いたくない。厚労省の見解によると以下の通りだ。
1)[密閉された場所]……窓やドアが開いていない、風通しの悪い場所
2)[密集した場所]……人がたくさん集まっている場所
3)[密接した場面]………人と人との距離が近い場面

実は英語版も作っているのだけれど(3Cと呼ぶそうだ)、この手のイニシャルをとった形式は、英語にしても意味がないと思う。日本語話者にとっても、本当に効いているのか疑問だ。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000615287.pdf

◆夜の街
ただの職業差別用語。当然ながら、夜だけに発生するウイルスではない。今は陽性とわかった人のうち半分にも満たない人が「夜の街で●人」と謎のカウントをされている。

◆クラスター班
「これを避けよう」という、集団リンチ・ヒステリーの一歩手前を作り出している。差別の温床。血眼になって「クラスターをつぶす」と言っておきながら「差別はよくない」と言うのは現実からすると卑怯な話だ。

他にもいろいろ。賛否両論あるだろうけれど、わたしは使いたくないので否定的なコメントだけ載せた。いずれにしても、これらは「してはいけないこと」を挙げている。「●●を避ける」というだけで、何をすれば良いのかはわからない。

じゃあ何をすればいいんだろうって考えてみた。

もしかして、「ちょっと離れてみる」ぐらいのことではないか? 「三密を避ける」が意味するのは、要するに「ちょっと離れてみよう」なのだ。

公式見解やいろいろなところで「三密の発見が日本モデルを支えている」と強調しているけれど、一周回って実際にできることは「ソーシャルディスタンシング」という世界共通の考え方に近い。

要するに、どの国も同じようなレベルのことしかできないのだ。