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そして「X」へ

その日は、突然に。本当にやってきた。イーロン・マスクが買収するとかしないとか。「Twitterなくなるってよ問題」だ。最終的にTwitter社自体がなくなって、「いつか来るだろう」とは思っていたけど、もう本当に、突然の出来事だった。イーロン・マスクが「Twitterやめて、Xだから」と言った数十時間後、青い鳥のアイコンは「X」になってしまった。

UnsplashZane Leeが撮影した写真

geocitiesが消滅するとき、まるで限界集落を先取りで見ているようだった。Twitterの場合は、真の変革をするためには、衰退を見守るよりも物理的に殴るほうが確実なのだというひとつのモデルを見ている。

やはり「X」は大事。記号としての「X」は。……そんなことを書いていると誤解されるかもしれないが、わたしはイーロン・マスクの信奉者ではない。本当にぜんぜん違う。

ただ、やはり未知の変数Xは捨て置けない。「X」は少しの間隙など、ものともせずに次を作っていく。


さて、Twitterが作る「ゆるふわ」な世界は、ただの幻だったとしても。虚空に会話をすることで満たされた心の平和があったことは覚えておきたい。

何か本当に世の中(「セカイ」ではなく)を変えることができるのではないかと、ほんの少しの希望が灯っていたことは悪くなかった。Twitterが「キャズムを超えた」瞬間に、それが起きるのかと期待したけど、それはかなり間違っていた。それすら覚えておいた方がいい。「キャズムを超えた」瞬間から、変容の一途をたどっていた。そもそも、結果的に「#MeToo」が生まれたのであって、最初から「正しい情報」の場を作ろうとしていたわけではなかった。この辺りは、後の世に誤解されないか心配だ。

そして、破滅に至るも人々はどこか他人事だ。結局最後まで、大喜利的なTweetが生まれては消えていく。Facebook(というかMeta)が始めたThreadsは、たしかに初期のTwitterのようだ。が、その大喜利的な何かの気配まで進出している。人は学ばないらしい。


世代論でくくるのが大雑把すぎるのは承知の上だが、「Generation X」、そしてその子ども世代である「Generation Z」が現代の資本経済で主役になっているのをヒシヒシと感じてしまう。間にはさまれたミレニアム世代(日本ではロスジェネ世代)からすると、なんとも言えないのだが、さては隣の芝生は青いというやつに過ぎないだろうか?

ちなみにどうでも良いことだが、パンクバンド「Generation X」のビリー・アイドルがどうしているかと彼のTwitter(X)アカウントを覗いてみた。すると、67歳で元気に活動中であるとわかった。すごい。

さらに蛇足になるが、このバンド名の由来と言えば、ビリーの母親が持っていたジェーン・デヴァーソンの『Generation X』に由来するという逸話が定説となっている。世代名は、ダグラス・クープランドの『Generation X: Tales for an Accelerated Culture』で世間に膾炙したものと思うけど、なんとも言えない偶然であり必然。

↓中古しか出回っていないようですが、意外とこの辺りは電子書籍などになると売れそうな気がする。


Twitterの画面を観てみよう。今のところ、青い鳥のアイコンだけ去って行き、「X」というロゴに書き換わっているのだが、各種ボタンやリンク処理には、元のブルーがそのまま残っている。なんとも突貫工事っぽい。そういえば、少し前から「認証を受ける」「フォロー」のボタン(PCブラウザ版の右カラムボタン)は、スミ一色になっていた。そういうところはスタートアップ的な香りがする。せっかくだったらドラスティックにすべてが変わるような仕掛けにしたらリッチな感じがするのに……と思ったものの、もしかしたら課金している人にはそうなっているのかもしれないな。

そういえば、少し前にイーロン・マスクがThreadsの表示を「Twitterと酷似している」と言ったのって、実はこの「X」の画面のテストアップと似ていたのかもしれない。結果的に後発になってしまったので、とりあえずブルーを残している可能性もあるのか、ないのか。それこそ、本意はイーロン・マスクしか知りえないし、自身も分からないのかもしれない。

ここ10年以上、ビジネスで「デザイン」が大事なのだと言われ続けてきたけれど、実際にものすごく成功した(ように見える)イーロン・マスクの振る舞いを見ていると、それもまた怪しく思えてくる。
※ただこれは特殊事例に違いないのだが。

「Twitterなくなるってよ問題」は、当分の間続くだろう。いろいろな意味で、時代のはざまに生きている実感をもたらす。そして、それにしても。仮にも「Z」だったら厄介な世の中であることも、考えずにはいられない。

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