読んだので読書メモ。
『母性のゆくえ「よき母」はどう語られるか』
エリザベート=バダンテール/著 松永りえ/訳 春秋社 2011
『母性という神話 (ちくま学芸文庫)』の著者が再び現在の常識を問いただした書。ジェンダーとかフェミニズムだとかの単語が出てくると避けたい人もいるはず。ただ、学術的な問題ではなくて「母親になるってどんなことだろうか」と漠然とした疑問を持ったり、その準備を進めていたりという人にとっては、気持ちの選択肢が増えて良いと思う。
実はわたしは、著者の主張に諸手を上げて賛成はできない。でもたいていのところで「かゆいところに手が届く」感じで、なんだかホッとした。みんながいっせいに同じことしか言わないのって気持ちが悪い。
欧米でロビー活動までして勝ち得つつある「母乳育児」および「自然への回帰」。それがここ日本では割と普通のこととして認められているからだ。母乳育児が増えたというのがニュースになってる…。この分野で、日本はとても最先端の国だったのかもしれない。
More new mothers are opting to breastfeed UK data shows
自然界における「母親」「父親」は、生存のために必要か否か決まるものだと思う。すでに人間にとっては、社会的な価値が大部分を締めるので両者の定義であるとか「母性本能」「父性本能」というものを考えなくてはいられなくなるのだな、きっと。
一般的に「高福祉国」とされる北欧諸国の出生率が芳しくなく、WHOのお手本から程遠い気質を持つフランスが出生率を高ポイントを獲得しているところに著者は着目している。
著者いわく、北欧諸国で多くの女性が出産後は「公共セクター」で働き、「パートタイマー」の割合も多い。男性は常に「民間セクター」でフルタイム。企業が出産した女性に支払う給付金を負担する機会が少ないため、公共セクターに頼らざるを得ないというのだ。しかも、一般的に民間セクターの方がお給料が良いのだとか。
この点、わたしは勘違いをしていた。女性が「パートタイマー」になり「公共セクター」で働くことが多いのは知っていたけど、金銭面でも優遇されているのかと思ったんだよね……日本では公務員のほうが金銭的にまぁまぁ恵まれているので(公僕だからといってとてもたいへんな仕事をしている人も知っているけどね)、てっきり逆なのだと思っていた。
で、フランスは雇用について、出産後の母親も基本的にフルタイムで働ける環境が整っているようだ。その垣根はとても低い。
本書で描かれているのは主にフランスの内情で、「ルソーの自然主義への回帰傾向が見られる、それも強力なイデオロギーとして」などの自由の危機を煽る文章があっても、危ない状況だって日本に住んでいれば「いずれにしろパラダイスじゃないか!」と言いたくなってしまう。
日本の女性がこぞってパリジェンヌに憧れた理由は、そこにあるような気がする。パリが絶対王政以降、常にモードの最先端であるという知識をみんなが持っていたかは定かではない。でもやはり圧倒的な「自分にない精神性」を感じることは多かったのだろうと思う。











