2011 年 6 月 22 日

母性とか

読んだので読書メモ。

『母性のゆくえ「よき母」はどう語られるか』
エリザベート=バダンテール/著 松永りえ/訳 春秋社 2011

母性という神話 (ちくま学芸文庫)』の著者が再び現在の常識を問いただした書。ジェンダーとかフェミニズムだとかの単語が出てくると避けたい人もいるはず。ただ、学術的な問題ではなくて「母親になるってどんなことだろうか」と漠然とした疑問を持ったり、その準備を進めていたりという人にとっては、気持ちの選択肢が増えて良いと思う。

実はわたしは、著者の主張に諸手を上げて賛成はできない。でもたいていのところで「かゆいところに手が届く」感じで、なんだかホッとした。みんながいっせいに同じことしか言わないのって気持ちが悪い。

欧米でロビー活動までして勝ち得つつある「母乳育児」および「自然への回帰」。それがここ日本では割と普通のこととして認められているからだ。母乳育児が増えたというのがニュースになってる…。この分野で、日本はとても最先端の国だったのかもしれない。

More new mothers are opting to breastfeed UK data shows

自然界における「母親」「父親」は、生存のために必要か否か決まるものだと思う。すでに人間にとっては、社会的な価値が大部分を締めるので両者の定義であるとか「母性本能」「父性本能」というものを考えなくてはいられなくなるのだな、きっと。

一般的に「高福祉国」とされる北欧諸国の出生率が芳しくなく、WHOのお手本から程遠い気質を持つフランスが出生率を高ポイントを獲得しているところに著者は着目している。

著者いわく、北欧諸国で多くの女性が出産後は「公共セクター」で働き、「パートタイマー」の割合も多い。男性は常に「民間セクター」でフルタイム。企業が出産した女性に支払う給付金を負担する機会が少ないため、公共セクターに頼らざるを得ないというのだ。しかも、一般的に民間セクターの方がお給料が良いのだとか。

この点、わたしは勘違いをしていた。女性が「パートタイマー」になり「公共セクター」で働くことが多いのは知っていたけど、金銭面でも優遇されているのかと思ったんだよね……日本では公務員のほうが金銭的にまぁまぁ恵まれているので(公僕だからといってとてもたいへんな仕事をしている人も知っているけどね)、てっきり逆なのだと思っていた。

で、フランスは雇用について、出産後の母親も基本的にフルタイムで働ける環境が整っているようだ。その垣根はとても低い。

本書で描かれているのは主にフランスの内情で、「ルソーの自然主義への回帰傾向が見られる、それも強力なイデオロギーとして」などの自由の危機を煽る文章があっても、危ない状況だって日本に住んでいれば「いずれにしろパラダイスじゃないか!」と言いたくなってしまう。

日本の女性がこぞってパリジェンヌに憧れた理由は、そこにあるような気がする。パリが絶対王政以降、常にモードの最先端であるという知識をみんなが持っていたかは定かではない。でもやはり圧倒的な「自分にない精神性」を感じることは多かったのだろうと思う。

2011 年 6 月 21 日

もしもしもしも

社内で避難訓練があった。地震→火災という訓練の王道です。

およそ3ヶ月前、同じビルで起きたことを思い出してみると、ビルから出るときに手荷物を瞬時に判断できなかったのが悔やまれるのだった。

打ち合わせ中、とりあえず体だけは!と外に出たものの、持ち物は携帯とハンドタオルのみ。万が一、ビルに戻れない事態になってたらどーするつもりだったんだ。

学校の避難訓練は、地震も火災も「おかしを守ってすみやかに校庭へ」という感じだったのだけど、ランドセルも持って外へ出るのが必要だったのだろう。今はどうやってるのか知らないけど。どうなんだろう?

こんな感じだったので、予定時刻の少し前から準備。だいたい、普段から用意しておかなきゃダメだよね。まだ3ヶ月なのに、わたしは何を余裕こいてるのかと自問自答。

家では着々と準備しているのに、会社では丸腰状態。一日のうちでいちばん長くいるのは社内なのに…。

そもそも、通勤カバンをそのまま持ち出せば良いのかもしれない。

で訓練は、かなりしょぼいものだった。

スタート時刻になってほどなく、

プ〜〜〜〜ン、プ〜〜〜〜ン……

というリアルに蚊の鳴くような声に似た音がささやかに聞こえた。しかも、プリンターやマシンの起動音に混じってたので、意識しないと聞こえない。

音の正体は、セキュリティロックのかかったドアの向こうで鳴っていた非常ベル。

これ、もしほんとに火災が起きてたら…社内の人間はもとより、打ち合わせ中の外部の人まで巻きこんだ大惨事になるに決まってる。怖いわー。

その後、訓練自体が雨で中止になるという展開だったのですが。うーん、大丈夫なんだろうか? ビルの非常ベルがこんな構造だとは総務の誰も知らなかったようなので、早急に対処していただけると思うけど。

事件や災害は「もしもし」とお伺いを立ててやってくるわけでもないからね。脇の甘い訓練が、逆に危機を思い知らされたのでした。

2011 年 6 月 19 日

ホラ吹きとウソつき

読みました。
『偉大なる、しゅららぼん』万城目 学/著 集英社 2011

読後一番に思った。ホラ吹きになっても、ウソつきにはなってはいけないのかもしれない。嗚呼。それは紙一重だけど、あんまり分厚くないので取り扱いには気をつけなければ。自戒。

……決して、ウソつき勝負の話ではありません。万城目ワールドが激しく展開されています。琵琶湖畔の城下町で繰り広げられる学園SFモノ。頭をからっぽにしたい時に読んだらいいと思う。時間が止まる系の話が出てくるので、そこで突き詰めようとすると頭が混乱してしまいそうですが。でも、なんとなく映像化されたときの光景が目に浮かびます。どうなんでしょう。映像にしやすいとは思うのだけど、荒唐無稽さの塩梅が難しそうね。

これは劇場公開中の『プリンセス・トヨトミ』と合わせて物語の構想などを講演した際のインタビューのようです。
パレットしが – 小説家 万城目学さん

あれ?タイトル指定の部分が違ってる…のでは?>滋賀県のご担当者さま

2011 年 6 月 17 日

希望と絶望が眠る海の話

読みました。
『統ばる島』池上永一/著

統ばる島 :池上 永一 | ポプラ社

八重山諸島をめぐる、時空を超えたアンソロジーで構成される物語。

小説の底に流れる壮大なテーマに反して、描かれるのは日常のささいな瞬間。最終頁に向けて、ひとつの物語が立ち上がる瞬間が見える。これまでに発表されている池上作品のエッセンスが詰め込まれているようだ。できるだけ少ない言葉で世界を作り上げていくことに成功している小説だと思う。それでいて、決して飽きさせない。

エピソードの端々で、希望と絶望は隣り合わせなのだなぁと実感した。HEATWAVEの歌じゃないが「諦めたときに手にするもの」は確実に存在するんだよなぁとか。それは沖縄の空気なのか、読んでる自分が暮らしている状況なのか。この雰囲気がイマっぽい。とても。

横道にそれますが、これから夏に向けて、読んでみると沖縄に行った気分になれるかも。
かくいう自分も、沖縄に行った人の話はよく聞くんだけど、行ったことはないんだった。そんなことすら忘れてしまいそう。

2011 年 6 月 15 日

ペアルック構造

ペアルックのカップルがいた。え、ブラピっ?
女子は紅白のボーダーニットに「カーキ色のコットンショートパンツ」。で、かたわらの男子はオフホワイトのシャツに「カーキ色のコットンチノ」。素材や染めの感じが、どうも同じ所で買ったのではないだろうか。女の子のスラリと伸びた足がきれいだったので、カップル全体が2割増にキラキラしていた。こういうさりげないペアルックは、普通に幸せそうでちょっと良いな。

それでも、夫婦や同棲してる人は、どんどん着ているものが似通ってくる場合が多いように思う。ズバリ同じブランドとかショップで買うのでなくても、なーんとなく空気感が同じになっているのでは。「夫婦の顔が似てくる」というのに通じるところがあるのだろうか。「自分に似たものを好きになる」とか、「ギャルとギャル男の関係」とか。

ところで、ショーパンぐらいショートパンツって言ったほうがいいと思うのは「日本語の乱れ」云々ではなく。もれなくショーケンとフジテレビの女子アナウンサーを一緒に連想してしまうからかも……。

Page 7 of 79« First...56789...203040...Last »