読みました。
『白の祝宴 逸文紫式部日記』森谷明子/著 創元社 2011
中宮・彰子の時代を舞台にした推理小説。世に紫式部と呼ばれる「香子」をホームズ、その侍女「阿手木」をワトソンに見立てたシリーズ2作目(第1作は未読です)。
創元社から出ているのだけれども、推理小説としてではなく「王朝時代の貴族の日常を覗いている」気分で読んだ方が楽しい。心のひだを丁寧にすくいあげたり、細やかな生活感への目線があったり、そうした生き生きとした人物の描写がキモなので、かつて「え、古文なんて嫌い」と思っていた人も、韓流の時代劇とか、ここ数年の大河ドラマが好きな人なら楽しめそうだ。犯人探しやトリック、スリル、道理やルールといった要素はおまけのような気さえする。むしろ、トリックだけでは難があるように思う。
著者の言う通り、時代背景だとか知識はさほど頭になくてもひとまずは困らない。それでも、王朝文学的な香りが苦手な場合は、読み進めると苦痛になるのでは。なにも堅苦しいことではなく、漫画『あさきゆめみし』と映画『千年の恋 ひかる源氏物語』を押さえられる人なら問題なさそうだ。
自分の好きな歴史上の女房が素敵に描かれていた……等々、そのテの話が好きならどんどん妄想が膨らむところですが、それも物語の核にあると思う。ここではない何かに懸想してしまうことの凄みについて。あるいは、その原動力が「物語」あるいは「日記」と呼ばれた「文学であった」と語られているようだ。
実は、導入に使われているのは紫式部が生きた時代ではなくて、それからずっと後の時代。応仁の乱続く京都で、貴族の末裔である一人の少女が、やっとの思いで手に入れた紫式部が記したとされる日記を写本しているという設定。自分の先祖が載っている日記を、必死の思いで書き写すとか。そもそもその、日記に秘められた女たちの思いであるとか。それらは全てフィクションではあるけど、現在「古典文学」と伝えられているものがほとんど辿ってきたに違いない道のりであることに違いはない。
こんな壮大なテーマを持ち出したくなるのは、やはりそこに歴史が潜んでいるからでしょうか?
最後に……阿手木の夫・義清にときめいたのは私だけじゃないはず。胸キュンものですよ。











